Pioneer D-05 レガートリンクコンバージョン!


 当時いい音で録音するにはDATしかなかったが、どれも価格がとても高かった。MDというのもあったが中途半端な音で、学生録音派にとって暗黒の時代だった。そんな中DATデッキながら10万円をすぱっときって出てきたのがこのパイオニアのD-05である。これだーと早速購入して、シンセの音を録音したり、CDから曲を集めて聴きまくった。
 さてはじめはCDプレイヤーをつないでいたアンプの外部出力にこのD-05をつないでアナログ出力で録音していた。当時は赤白ケーブルしか使ったことがなかったので、直接光デジタルでつなぐという発想がなかった。ただこれでもいいことがあった。HSモードが使えるのである。
 HSモードはハイサンプリングモードのことで、これをオンにすると突然デッキのいろんなところがチカチカして、ギュイーンとヘッドモーターの回転が倍になり、通常の48khzの倍の96khzでの録音が可能になる。また再生も同じである。当時96khzの音をきけたのは本当によかった。すばらしかった。
 しばらくして古いパナソニックのコンポSC-D5(名前がこれと似ているなー)をいじっていたら、CDプレイヤーからアンプへは赤白ケーブルではなく、一本の光デジタルでアンプにつながれていることに気がついた。これをヒントに試しに使っていたCDプレイヤー「Panasonic SL-PS700」とこのD-05を光でつないでみた。
 入力確認のため録音スタンバイ中にモニタしていると、モニタ音がやけにいい。高音の伸び、抜け、透明感がある。この時はD/Aコンバータがどれほど進歩していたのか知らなかった。そしてはじめてレガートリンクコンバージョンの機能を知った。
 録音目的だったので、このD-05の一番の売りのレガートリンクコンバージョンには全く注目していなかったのだが、CDマスタリングの過程で削られた20khz以上を補完するという体験は感動ものだった。まさにアップサンプリングである。このとき以降、CDは、CDプレイヤーからこのD-05へ光でつなぎ、そこからアンプへつないで聴くようになった。CDは単なる読み取り装置。D-05は単なるD/Aコンバーターとして使った。
 しばらくしてこのレガートリンク機能が同じパイオニアのCDプレイヤーにもついていることを知った。機種名は忘れたが事前にカタログで確認して、すぐに買うつもりで石丸電気に乗り込んだ。CDプレイヤーがずらっと並んだ視聴コーナーがあったので、念のためお目当てを確認、やっぱりいいねー。
 店員を呼ぶ前に、店内は静かで他の客もいなかったので一応他のも確認しておくかと、手当たりしだい試していった先にとんでもなくいい音を鳴らすプレイヤーがあった。デンオンのCDプレイヤーだった。この予期せぬ遭遇に、このデッキの前で2時間悩むことになった(続く)。