RME Babyface/USB-DACの最初の到達点


 ハイサンプリングレート音源の長時間使用に耐えるUSB-DACを求めて9か月が過ぎた。雑誌のレビューはあてにせず、各社のUSB-DACを長時間、各種テストを行った結果、このRME Babyfaceで一旦腰を落ち着けることにした。

 RME社の製品は、以前購読してた雑誌「サウンドレコーディング」ではよく目にしてたが、値段も張ることもあり、まさか自分の手元に、しかもUSB-DACという形で、さらにこんなにコンパクトな形で来るとはおもわなかった。

 到着した袋!を開けると梱包材に囲まれたパッケージが現れた。表に返すとドイツ人の青い目をしたかわいい赤ちゃん!箱を開けると銀色のボディが現れる。ドイツの見本市であったような、この赤ちゃんの目と同じブルーの筐体がよかったが、というのも銀色は安っぽく、そして軽そうな感じがしたからである。しかし手に持てばそれは間違っていたことがわかる。ずしっ!これはそう、超合金のおもちゃの感じである。


 USBのバス電源だけで動くという不安がありつつも、諸設定を終えて再生を開始すると、長時間のテスト前ではあるが、これで決まり!とおもった。これまでのUSB-DACは2つのタイプに分かれるとおもう。1つは高い分解能と繊細でクリアな音。もう1つは力強さを感じる音。それぞれベンダーのこれまでのオーディオ作りが反映されている。そして、このBabyfaceは、さらっとこの2つを両立させている。そして一番重要なのは、176.4KHz/192KHz音源の再生時の安定性である。通常のUSB-DACは10時間も試聴すれば問題に遭遇したものだった。

 別の記事でも触れたが、このBabyfaceは他のUSB-DACとは設計思想が異なっている。まず気づくのはDACに流行の「PCM1795」ではなく、6年以上前の「PCM4104」を使っていること。そしてUSB伝送上のテストを繰り返した結果、アシンクロナス転送、USB AUDIO2.0でもなく、しかもWindowsとMacで異なる方式を使うことにしたのである。

 またASICではなく、高価なFPGAのSpartan-6を使っている。こうすることで開発検証サイクルが短く、高い品質を他社にはない速度で追及できる。また通常、購入後に問題が発生すると、ベンダーに返品して修理が必要なのに対して、アップデートで回路をプログラミングしなおすことで対応することができる。実際、CD-ROMの中にあったアップデートツールを起動すると、「Programming...」とバージョンアップがされた。

 このBabyfaceはある環境において、動作が”非常に”厳しいものがあるが、これは別記事に書いていくとして、少なくともUSB-DACとしては、各種ハイレゾ音源の再生クオリティは素晴らしい。USB-DACとしては1つの到達点を築いたのではないだろうか。そして既存、これ以降のUSB-DACはここを目標、最初の到達点にせざるを得ない。が...大丈夫だろうか。